山留め工事の費用いくらかかるか

山留め工事は、仮設工事です。仮設工事は、引き渡しの時には、残らない工事のことですが、それにかかる費用を見落とすと後で大変なことになります。だからこそ、山留め工事計画は、重要になります。

どんな場合に必要になるのか

本設の工事に地下の工事がある場合や敷地に高低差があり山を背負う場所に工事する場合などに必要になります。ですから、そのような場所に施工する場合には、山留め工事を想定し、それにかかる費用を全体工事費に含めておきましょう。

建物本体とは別の費用がかかる

山留め工事で何を選ぶか

山留め工事にもさまざまな工法がありますが、多いのは鋼矢板(シートパイル)工法親杭横矢板工法です。

それらについては、以前にご紹介しているページがありますのでこちらをご覧ください。

では、どちらを選んだらよいかということですが、計画敷地の様々な条件を考慮して決める必要があります。どちらでもできる場合には、費用(コスト)の安い工法を選べば良いと思います。

安いのは、どっち?

これは、条件によりますので、どちらの方が安いとも言えません。しかし、あらゆる障害が無く、同じ条件で行えるなら、親杭横矢板工法の方が費用は安いと思います。なぜかと言いますと、山留め工事の費用は、必要な鋼材の量に大きく影響するからです。

隣地境界との距離が狭い場合

親杭横矢板工法の方が良いです。シートパイル工法の場合には、オートパイラーという打ち込む機械が入る広さが必要です。一方の親杭横矢板工法の場合にも例えばH250のH鋼を親杭とするならば、φ450のオーガー(ドリル)が入るスペースくらいは必要です。

水が出る場合

水源が近い敷地や地下水位の高い敷地の場合には、掘削すると水が出る場合があります。水が出る敷地かどうかは事前に地盤調査などで確認しておきましょう。そして、たくさんの水が出ることが想定される場合には、シートパイル工法の方が良いです。その理由は工事の手順によります。シートパイルは、事前にシート状の鋼材を打設するために事前に周囲からの水を遮断することができます。しかし、完全に水が止まるわけではないので、ディープウェル工法などを併用して、水位を下げておく必要があることもあります。

山留め工事の費用の内訳は

全ての工事の内訳と同じように1.材料費、2.工事費、3.諸経費の大きく3つの項目からできています。

1.材料費

材料費の多くを占める鋼材は、できればリースとなります。つまり、仮設中に借りて工事が終わったら返すということです。打設して、打設したまま敷地に残して返さない場合には、その鋼材は買い取りとなります。買取になれば、リースよりも高くなります。また、材料費の中にリース代の他に鋼材の運搬費がかかります。期間1~2か月程度の山留めの場合には、鋼材のリース代よりも運搬費の方が高いです。それくらい重要です。

2.工事費

工事費は、工事をする職人の労務費や工事にかかる費用です。打設工事費、支保工設置費、引き抜き工事費などが含まれます。一般的に材料の量が増えるとその分工事費も増えます。敷地が狭かったり、敷地までの道路が狭い場合には、材料が細かい材料で運ばれてくるので、現場の工事費は2~3倍になることもあります。

3.諸経費

山留め工事費の1~2割程度です。会社を存続させるための工事利益もこの中に含まれます。

費用(コスト)の事例

よくありそうな事例として次のような山留を計画するとします。

掘削する必要がある深さを地下室をつくる場合と想定し、3mくらい。その場合には、その深さと同じくらいの根入れが必要になります。しかし、その計算は、地盤調査を行った結果をもとに計算します。

1.材料費

鋼矢板をⅢ型。腹起しと切梁をH350と想定し、計算すると、鋼矢板は28.63t。その他腹起し切梁等の鋼材で約5.2t。運搬費を7tトラックで搬入と搬出で計算すると22台くらい必要になります。

で、160万円~200万円くらいでしょう。

2.工事費

同じく、160万円~200万円くらいでしょう。

3.諸経費

全体工事費の1~2割程度であると計算すると

4.合計山留め工事費

上記の金額幅で計算すると350万円~480万円くらいの金額になってきます。

ただし、

上記の金額は、あくまでも純粋に山留にのみかかる費用の計算ですので、その他に土の掘削埋め戻し水替え費敷き鉄板敷地条件などの費用を合計すると、実際にかかる合計費用は、その2~3倍になりますので、山留め工事が必要な場合には、早めにご検討し、全体の費用を抑えておくことが大切です。

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